Ruby 2.5.0 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > 組み込みライブラリ > Kernelモジュール > lambda
proc { ... } -> Proc
[permalink][rdoc]lambda { ... } -> Proc
proc -> Proc
lambda -> Proc
与えられたブロックから手続きオブジェクト (Proc のインスタンス) を生成して返します。Proc.new に近い働きをします。
ブロックが指定されなければ、呼び出し元のメソッドで指定されたブロックを手続きオブジェクトとして返します。呼び出し元のメソッドがブロックなしで呼ばれると ArgumentError 例外が発生します。
ただし、ブロックを指定しない呼び出しは推奨されていません。呼び出し元のメソッドで指定されたブロックを得たい場合は明示的に & 引数でうけるべきです。
ブロックを指定しない lambda は Ruby 2.6 までは警告メッセージ「warning: tried to create Proc object without a block」が出力され、Ruby 2.7 では ArgumentError (tried to create Proc object without a block) が発生します。
ブロックを指定しない proc は、Ruby 2.7 では $VERBOSE = true のときには警告メッセージ「warning: Capturing the given block using Proc.new is deprecated; use `&block` instead」が出力され、Ruby 3.0 では ArgumentError (tried to create Proc object without a block) が発生します。
例
def foo &block
lambda(&block)
end
it = foo{p 12}
it.call #=> 12
手続きオブジェクトを中断して、呼出し元(呼び出しブロックでは yield、それ以外では Proc#call) へジャンプし値を返すには next を使います。break や return ではありません。
例
def foo
f = Proc.new{
next 1
2 # この行に到達することはない
}
end
p foo().call #=> 1
ブロック付きメソッドに対して Proc オブジェクトを `&` を指定して渡すと呼び出しブロックのように動作します。しかし、厳密には以下の違いがあります。これらは、Proc オブジェクトが呼び出しブロックとして振舞う際の制限です。
問題なし
(1..5).each { break }
LocalJumpError が発生します。
pr = Proc.new { break }
(1..5).each(&pr)
Kernel.#lambda と Proc.new はどちらも Proc クラスのインスタンス(手続きオブジェクト)を生成しますが、生成された手続きオブジェクトはいくつかの場面で挙動が異なります。 lambda の生成する手続きオブジェクトのほうがよりメソッドに近い働きをするように設計されています。
Kernel.#proc は Proc.new と同じになります。引数に & を付けることで手続きオブジェクト化したブロックは、Proc.new で生成されたそれと同じように振る舞います。
lambda のほうがより厳密です。引数の数が違っていると(メソッドのように)エラーになります。 Proc.new は引数を多重代入に近い扱い方をします。
Proc.new は引数の数が違っていてもエラーにならない
b = Proc.new{|a,b,c|
p a,b,c
}
b.call(2, 4)
#=> 2
4
nil
lambda は引数の数が違うとエラーになる
b = lambda{|a,b,c|
p a,b,c
}
b.call(2, 4)
# => wrong number of arguments (given 2, expected 3)
メソッド呼び出し(super・ブロック付き・yield)/ブロックパラメータの挙動 も参照してください。
return と break は、lambda と Proc.new では挙動が異なります。例えば return を行った場合、lambda では手続きオブジェクト自身を抜けますが、 Proc.new では手続きオブジェクトを囲むメソッドを抜けます。
例
def test_proc
f = Proc.new { return :from_proc }
f.call
return :from_method
end
def test_lambda
f = lambda { return :from_lambda }
f.call
return :from_method
end
def test_block
tap { return :from_block }
return :from_method
end
p test_proc() #=> :from_proc
p test_lambda() #=> :from_method
p test_block() #=> :from_block
以下の表は、手続きオブジェクトの実行を上の例と同じように、手続きオブジェクトが定義されたのと同じメソッド内で行った場合の結果です。
return next break Proc.new メソッドを抜ける 手続きオブジェクトを抜ける 例外が発生する proc メソッドを抜ける 手続きオブジェクトを抜ける 例外が発生する lambda 手続きオブジェクトを抜ける 手続きオブジェクトを抜ける 手続きオブジェクトを抜ける イテレータ メソッドを抜ける 手続きオブジェクトを抜ける 手続きオブジェクトを抜ける
Proc を生成したメソッドから脱出した後、手続きオブジェクトからの return, break は例外 LocalJumpError を発生させます。ただし、上でも説明した通り lambda で生成した手続きオブジェクトはメソッドと同じように振る舞うことを意図されているため、例外 LocalJumpError は発生しません。
例
def foo
Proc.new { return }
end
foo.call
# => in `call': return from proc-closure (LocalJumpError)
以下の表は、手続きオブジェクトの実行を上の例と同じように、手続きオブジェクトが定義されたメソッドを脱出してから行った場合の結果です。
return next break Proc.new 例外が発生する 手続きオブジェクトを抜ける 例外が発生する proc 例外が発生する 手続きオブジェクトを抜ける 例外が発生する lambda 手続きオブジェクトを抜ける 手続きオブジェクトを抜ける 手続きオブジェクトを抜ける