Ruby 2.3.0 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > monitorライブラリ > MonitorMixinモジュール
クラス・モジュールの継承リスト: MonitorMixin
スレッドの同期機構としてのモニター機能を提供するモジュールです。
クラスに Module#include したり、オブジェクトに Object#extend したりすることでそのクラス/オブジェクトにモニタ機能を追加します。
require 'monitor'
buf = []
buf.extend(MonitorMixin) # 配列にモニタ機能を追加
empty_cond = buf.new_cond # 配列が空であるかないかを通知する条件変数
# consumer
Thread.start do
loop do
buf.synchronize do # ロックする
empty_cond.wait_while { buf.empty? } # 配列が空である間はロックを開放して待つ
print buf.shift # 配列が空でなくなった後ロックを取得してこの行を実行
end # ロックを開放
end
end
# producer
while line = ARGF.gets
buf.synchronize do # ロックする
buf.push(line) # 配列を変更(追加)
empty_cond.signal # 配列に要素が追加されたことを条件変数を通して通知
end # ここでロックを開放
end
MonitorMixin は初期化される必要があります。上の例のように Object#extend を使って利用する場合は自動的に初期化されます。
require 'monitor'
buf = []
buf.extend(MonitorMixin)
しかし、MonitorMixin をクラス定義の際に Module#include を使って利用する場合は、initialize メソッドで super() か super を呼んで、初期化する必要があります。スーパークラスの initialize に引数を渡したい場合は super を、そうでない場合は super() を呼んで下さい。詳しくは、メソッド呼び出し(super・ブロック付き・yield)/super を参照して下さい。例えば、以下の MyObject のスーパークラスは Object であり、その initialize は引数を受け付けないので super ではなく super() を呼ぶ必要があります。
require 'monitor'
class MyObject
include MonitorMixin
def initialize(val)
super()
@value = val
end
def to_s
synchronize {
@value.to_s
}
end
end
以下も参考になります。
定義 | 説明 | |
---|---|---|
mon_enter -> ()
|
モニターをロックします。 |
|
mon_exit -> ()
|
モニターのロックを解放します。 |
|
mon_synchronize { ... } -> object
|
モニターをロックし、ブロックを実行します。実行後に必ずモニターのロックを解放します。 |
|
mon_try_enter -> bool
|
モニターのロックを取得しようと試みます。ロックに成功した(ロックが開放状態だった、もしくはロックを取得していたスレッドが自分自身であった)場合には真を返します。 |
|
new_cond -> MonitorMixin::ConditionVariable
|
モニターに関連付けられた、新しい MonitorMixin::ConditionVariable を生成して返します。 |